業界トピックス
機能性表示食品 ヘルスクレームの開発(1)
2019.7.1
機能性表示食品の受理件数が増える毎に、機能性表示食品として受理されるだけでは、他社商品との差別化が難しくなり、ヘルスクレームの差別化により、他社商品との差別化を図る傾向が強まっています。
ヘルスクレームの差別化については、いくつかの手法がありますが、今回は商品のターゲットとなる顧客を想定して、顧客の具体的生活パターンからヘルスクレームを開発する手法について観ていきます。
【機能性関与成分名】:アスタキサンチン
【表示しようとする機能性】:本品にはアスタキサンチンが含まれるので、日常生活における仕事や勉強などのデスクワークと運動の両方の組み合わせによって生じる一過性の疲労感を軽減する機能があります。
通勤通学や営業に伴う「運動」を考えると、サラリーマンや学生の大半が、「仕事や勉強などのデスクワーク」と「運動」を日常的に行っていますので、一過性の疲労を感じているサラリーマンや学生を、ターゲットとしていると仮定します。
続いて、「仕事や勉強などのデスクワーク」と「運動」の臨床試験での負荷の方法については、以下の論文の通りです。
【論文より抜粋】
「日常的に起こる疲労、すなわち精神と肉体の両負荷後に生じる疲労、に与えるアスタキサンチン摂取の有効性を調べることを目的として、疲労を感じている20歳~64歳の健常男女を対象に無作為化プラセボ比較二重盲検試験を実施。
精神負荷として内田クレペリン(日本・精神技術研究所株式会社)を用いた延べ30分間の連続加算作業の後、肉体負荷として自転車エルゴメーターを用いた30分間の連続自転車走行を被験者に課した。
精神と肉体の両負荷から構成される日常生活で生じる疲労感を軽減することを確認した。」
機能性表示食品のガイドラインには、可能な機能性表示の範囲として、下記の3つが例示されていますので、本件の本質的な機能性は「一過性の疲労の軽減」となります。
(1)容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨
(2)身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨
(3)身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つ旨
本件においては、「一過性の疲労軽減」という機能性について、臨床試験での負荷の方法を、 精神負荷と肉体負荷の2つに分けることにより、
・精神負荷として内田クレペリン検査による加算(計算)作業
・肉体負荷として自転車エルゴメーターを用いた連続自転車走行
「日常生活における仕事や勉強などのデスクワークと運動の両方の組み合わせによって生じる一過性の疲労感を軽減する機能があります。」というヘルスクレームに結び付けています。
このように、臨床試験の方法を工夫することにより、様々なヘルスクレームの開発が可能となります。