業界トピックス
厳しい景品表示法(2)
2018.12.13
景品表示法違反行為による健康食品販売企業への課徴金納付命令が、相次いでいるようです。
景表法に違反する行為、すなわち、機能性表示食品において不当な表示や、過大な景品類の提供が行われている疑いのある場合、消費者庁から「裏付けとなる資料」の提出が求められ、さらに事業者への事情聴取が行われます。調査の結果、「合理的な根拠がない」と判断された場合は、その事業者に対し、不当な表示で消費者に与えた誤解の排除、再発防止策などの「措置命令」が下されるのです。追っては、事業者が不当表示をする行為をした場合、景品表示法第5条第3号に係るものを除き、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、売上の3%の課徴金納付も命じられます。
以前のコラムでも触れていますが、「太れない体質だとあきらめたくない!」「女性らしい美ボディに!健康的にふっくらしたい」と表示した販売企業が景表法違反で摘発されています。該当する健康食品の売上高は8,878万8,836円で、その3%に当たる266万円の課徴金支払いが期限付きで命じられました。
また、別の企業では、「視界爽快」「小さな文字や画面もバッチリ!」という表示が、景表法違反と判断され、1814万円の支払い命令、さらに別企業の「痩せやすい習慣を作る!」「149種類の酵素で燃えるカラダを作る!」には歴代2位となる1億886万円もの課徴金支払い命令が下されているのです。課徴金が1億を超えるということは、売上にすると36億3000万ほど。それだけ人気がありヒットしていた商品だけに、法違反で摘発され、ホームページに謝罪文を掲示するといったイメージダウンは、企業にとって大きなマイナスです。同社は商品のPRに有名タレントを起用していたこともあり、商品販売への出資も大きかったに違いないでしょう。
消費者庁は消費生活センターに集まる消費者からの苦情を元にして、違法調査に乗り出しているようです。苦情から読み取れる機能性の効果は、消費者個人の主観も入るため一様とはなりませんが、苦情が多く寄せられ調査対象になった場合、その「根拠となるエビデンス」を示せるかどうかがカギとなります。機能性表示食品の届出条件である、「システマティック・レビューによる既存エビデンス」や「最終製品で実施したヒト試験」の解釈には、専門的な考究が必ず必要であり、素人目で機能性の根拠となるか否かを判断することは極めて危険なことです。事が起こった後で詳しく確認してみると、全く合理性のない結果を示していた、なんてもことにもなり兼ねません。
精力を注ぎ完成させた自社商品だからこそ、適切に専門家を利用し、厳たる健食制度へ勝負を挑みたいですね。