業界トピックス
食薬区分 運用改善の機能性表示食品への影響
2019.5.1
■「専ら医薬品リスト」運用改善通知〜厚生労働省
厚生労働省より、3月15日、食薬区分の「専ら医薬品リスト」に収載されている成分(専ら医薬成分)を元から含む生鮮食料品、その加工食品について、専ら医薬成分を含むことのみを理由に医薬品に該当するとは判断しない旨の通知が出されました。
■専ら医薬成分を機能性関与成分としてOK~消費者庁
これに合わせ、消費者庁も15日、機能性表示食品に関する質疑応答集(Q&A)の一部改正を行い、医薬品に該当しないと判断される場合に限り、専ら医薬成分を機能性関与成分とする届出を「妨げない」考えを明記しました。
■「専ら医薬品リスト」運用改善の詳細
厚労省の通知は、Q&A形式で出され、専ら医薬成分を元から含む生鮮食料品、それを活用した加工食品の医薬品該当性は、食経験や製品の表示・広告、販売の際の演術などを踏まえて「総合的に判断する」とされました。
加工食品には、タブレットなどサプリメント形状も含まれ、「伝統的発酵」で専ら医薬成分が含有されるようになる食品も含むと明記されました。伝統的とあるが、昔ながらのかめを使ったような発酵に限定しているわけではなく、発酵食品で一般的に使われるタンク発酵も該当すると考えられます。
加工食品には、製造過程で専ら医薬成分を抽出、濃縮、純化を目的とした加工をしていないこと、かつ、食品由来でない専ら医薬成分を添加していないことの、2つの条件が設けられました。
専ら医薬成分を元から含む生鮮食料品を使った加工食品の医薬該当性の判断の要点は、専ら医薬成分を主に摂取させる目的で抽出、濃縮、純化などの加工を製造工程で行っていないかどうか。そうした加工を施していれば、食品ではなく医薬品成分を摂取させる目的のものと見なされ、医薬品に該当すると判断される可能性が高いと思われます。
■機能性表示食品の可否判断基準
機能性表示食品については今後、専ら医薬成分を機能性関与成分にした届出は、医薬品該当性が明確でない場合、届出書類確認時に消費者庁が厚労省に照会、確認する手続きが取られます。
■運用改善の背景
もともとは、専ら医薬品リスト収載成分を含む生鮮食料品や、サプリメントなどの加工食品を機能性表示食品として届け出られるようにするため、業界団体の健康食品産業協議会と、医薬品や化学品、食品などを手掛ける企業が参画するバイオインダストリー協会(JBC)らが、政府の規制改革推進会議に要望していたもの。2017年秋から規制改革推進会議の医療・介護ワーキンググループで議論されていました。
■機能性表示食品の届出が見込まれる成分
JBCでは規制改革への要望にあたり、機能性表示食品の機能性関与成分として活用したい専ら医薬品リスト収載成分名を具体的に示していた。主に、γ‐オリザノール(玄米)、S‐アデノシルメチオニン(=SAMe、酒粕)、デオキシノリジマイシン(桑葉)の3成分。まずはこれら3成分から、機能性表示食品の届出が進んでいきそうです。
■その他の影響
特定保健用食品においては、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」を関与成分とした商品が、許可されなかったケースがあります。
今回の「専ら医薬品リスト」の運用改善により、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」を関与成分とする機能性表示食品が新たに届出される可能性もありそうです。